トンマナとは?初心者デザイナーのための基本解説

デザインの現場でよく耳にする言葉のひとつに「トンマナ」があります。
クライアントとの打ち合わせやデザイナー同士の会話で「トンマナを揃えてほしい」「このデザイン、ちょっとトンマナが崩れている」といった表現が飛び交うことがあります。
しかし、デザインを学び始めたばかりの人や、他業種からデザインに関わり始めた人にとっては「トンマナって何?」と疑問に思うことも少なくありません。
この記事では、トンマナの基本的な意味・役割・具体例・設定方法・失敗事例までを網羅的に解説します。
これからデザインに関わる初心者デザイナーや、発注する立場にあるビジネスパーソンの方にも役立つよう、実務に直結する形でまとめました。
トンマナとは何か?
1. 「トーン&マナー」の略語
「トンマナ」とはトーン&マナー(Tone & Manner)を略した言葉です。
直訳すると「調子と態度」ですが、デザイン分野ではデザイン全体の雰囲気や一貫性を指します。
2. トンマナの意味を噛み砕くと
デザインや表現活動における「ルール」や「空気感」を統一するための考え方。
色使い、フォント、写真のスタイル、アイコン、イラスト、言葉遣いなどを一貫させることで、受け手に与える印象を統制します。
3. トンマナの重要性
- ブランドの世界観を崩さずに伝える
- 複数人で作業しても統一感を保てる
- ユーザーにわかりやすく信頼感を与える
トンマナが必要とされる場面
1. Webサイト制作
トップページだけ豪華で、下層ページがシンプルすぎると違和感が生まれます。
フォントや配色を統一することで「このサイトの世界観」が確立されます。
2. 広告・バナー
同じブランドの広告でも、媒体ごとに色や言葉遣いがバラバラだとユーザーが混乱します。
SNSバナー、Web広告、チラシなど、すべての媒体でトンマナを揃えることが重要です。
3. SNS投稿
Instagramの投稿デザインが毎回バラバラだとブランドイメージが崩れます。
投稿のフォント・写真のテイスト・カラーを統一することで、アカウント全体が「ブランドの顔」として成立します。
4. プレゼン資料
スライドごとにデザインが違うと、内容よりも「見づらい」と感じてしまう人が多いです。
資料のトンマナを揃えることは、相手に内容を正しく伝える第一歩です。
トンマナを構成する要素
1. 色(カラーパレット)
ブランドカラーを中心に、メインカラー・サブカラー・アクセントカラーを設定。
2. フォント
見出し用フォント・本文用フォントを決めて統一。
和文と欧文のバランスも重要です。
3. 写真・イラストのスタイル
リアル写真か、フラットイラストか、手描き風か。ビジュアルの統一が印象を作ります。
4. 言葉遣い・コピー
敬語か、カジュアルか、ユーモラスか。文章トーンもトンマナに含まれます。
5. レイアウト
余白の広さ、ボタンの形、配置のルールも含まれます。
トンマナ設定の手順
- 目的を定める(例:高級感・親近感・信頼感など)
- ターゲットを明確にする(誰に向けてデザインするのか)
- リサーチする(競合・業界標準を調べる)
- カラーパレットやフォントを決定する
- サンプルデザインを作る(バナー・LP・SNSなど)
- ガイドライン化する
トンマナ崩壊の失敗事例
事例1:バナー広告の色がバラバラ
同じブランドなのに、赤・青・黄色など統一感がなく、ユーザーが「別ブランド」と認識してしまう。
事例2:SNS投稿の写真テイストが統一されていない
毎回違う加工がされており、タイムラインで見たときに「統一ブランド」として認識されない。
事例3:フォントがページごとに異なる
見出しはゴシック、本文は明朝、次のページでは丸ゴシック……というバラバラな状態。
ユーザー体験が損なわれる。
トンマナを守るためのチェックリスト
- カラーパレットは統一されているか?
- 見出しと本文のフォントは揃っているか?
- 写真やイラストのテイストは統一されているか?
- コピーの言葉遣いは一貫しているか?
- 余白やレイアウトのルールが守られているか?
トンマナとデザインガイドライン
実務では「デザインガイドライン」としてまとめることが推奨されます。
ブランドカラーの指定値(HEX、RGB、CMYK)、使用するフォント、ロゴの使用ルール、禁止事項などを明文化し、誰がデザインしても同じクオリティになるように管理します。
参考リンク:
IBM Design Language
楽天ブランドガイドライン
初心者デザイナーがトンマナを学ぶ方法
1. 既存のブランドを研究する
Apple、Nike、無印良品など大手ブランドはトンマナが徹底されています。
2. 自分で模写する
Webサイトや広告を参考に、色やフォントを真似てみる。
3. 小さなプロジェクトで実践
自分のSNS投稿やポートフォリオを作る際に、トンマナを意識してみる。
4. デザインガイドラインを作ってみる
自分の架空ブランドを設定して、ガイドラインを作ると理解が深まります。
まとめ
トンマナとは「デザイン全体の雰囲気を統一するためのルール」です。
色・フォント・写真・言葉遣いなどを揃えることで、ブランドの世界観が確立され、ユーザーに信頼感を与えます。
初心者デザイナーはまず「違和感をなくす」ことから意識し、少しずつトンマナをコントロールできるようになると、プロとしてのデザイン力が一段階上がるでしょう。