ブランドデザインにおけるトンマナの役割と重要性
相沢なつき
ブランドデザインを成功させる上で欠かせない要素のひとつが「トンマナ」です。
広告やWebサイト、SNS運用、商品パッケージなど、ユーザーがブランドに触れる場面は無数にあります。
そのすべてにおいてトンマナがバラバラだと「統一感のないブランド」と見なされ、信頼を損ねてしまいます。
本記事では、ブランドデザインにおけるトンマナの役割と重要性を詳しく解説します。
デザイナーはもちろん、広報・マーケティング担当者や経営層にとっても必須の知識となるでしょう。
トンマナとは？ブランドデザインでの位置づけ
1. トンマナの定義
「トンマナ」とはトーン＆マナー（Tone & Manner）の略語で、ブランドにおける表現の統一性を保つための指針です。
色・フォント・写真の雰囲気・文章トーンなどを整えることで、ブランドが「一つの人格」として認識されます。
2. ブランドデザインにおける役割
- 視覚・言語表現を統一してブランドの一貫性を維持する
- 顧客に安心感と信頼感を与える
- 複数人で制作しても同じブランド世界観を維持できる
- 広告やSNS運用など、異なる媒体でもブランドの連続性を確保する
トンマナがブランドに与える影響
1. 信頼性の向上
統一感のあるデザインは「しっかりしたブランド」という印象を与えます。
逆にトンマナがバラバラだと、安っぽさや不信感を抱かれる可能性があります。
2. ブランド認知度の向上
色・フォント・コピーの統一は「このデザインはあの会社だ」と瞬時に認識される効果を生みます。
3. 情報伝達の効率化
トンマナが整っていると、ユーザーは余計な違和感を感じずに内容に集中できます。
4. 社内外での制作効率化
ガイドラインがあることで、制作物ごとに迷うことなくスムーズに作業が進みます。
ブランドトンマナを構成する要素
1. 視覚的要素
- カラー（ブランドカラー・補助カラー・アクセントカラー）
- フォント（見出し・本文・装飾フォントの使い分け）
- 写真・イラストのスタイル（リアル／フラット／ミニマルなど）
2. 言語的要素
- 言葉遣い（敬語／カジュアル／ユーモラス）
- コピーライティングのトーン（高級感／親近感／革新性など）
3. レイアウトと構図
余白、グリッドシステム、アイコンやボタンの形状など。
トンマナをブランド戦略に活かす方法
1. ターゲットユーザーに合わせる
10代向けのブランドならポップでカジュアルに、富裕層向けならシックで高級感を意識するなど。
2. ブランドのミッション・ビジョンと一致させる
「持続可能性」を掲げるブランドなら、自然を意識したグリーン系カラーや柔らかいフォントが相性◎。
3. 一貫した体験を提供する
Webサイト・SNS・店舗・広告など、顧客が接触する全チャネルで同じ世界観を維持する。
トンマナが崩れた失敗事例
事例1：SNSとWebサイトの印象が別物
公式サイトはスタイリッシュなのに、SNS投稿がカジュアルすぎて「本当に同じブランド？」と疑問を持たれる。
事例2：広告代理店ごとに違うバナー
複数の外注先が別々に制作し、色・フォントがバラバラ。結果、ブランド認知に結びつかない。
事例3：言葉遣いが統一されていない
ある媒体では「お客様」、別の媒体では「ユーザーさん」。ブランドの人格が定まらない。
ブランドトンマナを維持するためのガイドライン
1. デザインガイドラインの作成
カラーコード、フォント種類、ロゴ使用ルールを明記。
2. 言語トーンガイド
社内文章・SNS投稿・広告コピーの文体を統一。
3. 実務チェックリスト
- 配色はブランドカラーに沿っているか？
- フォントは統一されているか？
- 写真やイラストのスタイルは揃っているか？
- 言葉遣いは一貫しているか？
参考リンク：
IBM Design Language
楽天ブランドガイドライン
まとめ
ブランドデザインにおいてトンマナは「ブランドの人格を守るルール」です。
色やフォントだけでなく、言葉遣いや世界観まで含めて統一することで、ユーザーはブランドに安心感と信頼を抱きます。
逆にトンマナが崩れると「別物のブランド」と認識され、せっかくのマーケティング施策が無駄になることもあります。
トンマナを意識してブランド体験を設計することが、長期的なブランド価値を高める第一歩なのです。
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